kazokuso_flow_4-6-1024x213 家族葬の内容と流れ【2】

4. 打合せ

ご安置後の翌日には、葬儀社と葬儀の打合せを行ないます。大切な方がご逝去され、悲しみに暮れる中で葬儀の打合せをすることはとても辛いと思います。葬儀の打合せは、葬儀社と喪主になる方、場合によっては喪主代理の方とも行います。喪主を勤められた経験のある方はおわかりかと思いますが、喪主は葬儀前後、特に葬儀後に来る精神的・身体的負荷が大きいこと、喪主であることや葬儀中に偲ぶ時間もない程に慌ただしくなることから気が張ってしまことにより休息や睡眠がうまく取れなかったりすることから、ご葬儀後の反動で体調を崩す方もいらっしゃいます。そのため少しでも負担を軽減することを考え、もし可能であれば、喪主代理を立てることをおすすめします。代理の方がいれば適宜カバーをしてもらえるでしょうし、幾分かでも精神的負担が軽減されます。また、打合せにおいても一緒に話を聞いてもらえることで聞き逃しもなくなると思いますので、より安心して打合せに臨むことができます。ご葬儀の打合せで決めていく主な内容は、

  1. 通夜と葬儀告別式の日時(まずは菩提寺に予定の確認をし、これによって決まることがほとんどです)
  2. 火葬の日時(新型コロナなどの影響により予約制のところがほとんどのため、希望の時間にならないことが稀にあります)
  3. どのような葬儀の形にするのか(一般葬なのか家族葬なのか、など)
  4. 喪主の決定
  5. 会葬者の大まかな人数(会葬御礼品や礼状の数や内容を決定し、追加を想定して葬儀社で予備を準備してもらえます)
  6. ホールや祭壇の大きさ(式場の大きさにより葬儀ホールの大きさや祭壇が異なります)
  7. 式場併設の宿泊施設や設備の利用について
  8. 料理(出立ち料理、精進落としなど)の注文について
  9. 棺の内容(シンプルなものやエコに配慮したものから、華やかなものや豪華なものまで様々なものがあります)
  10. 骨壷の種類と大きさ(昔ながらの白いシンプルなものから様々な種類や絵柄のものまであり、5寸〜8寸ほどの大きさがあります)
  11. 祭壇の花の内容(祭壇の大きさに合わせて、花の種類や内容を決めます)
  12. 遺影で使用する写真(その他数枚:葬儀社にて作成するお別れ動画などに使用します)
  13. 役所関連の確認(主に死亡診断書や火葬許可書、手続きが必要なものの確認をします)
  14. 湯灌をするかしないか(病院でお亡くなりになった場合、故人様に着せたい服があれば必要)
  15. 新聞の「お悔やみ欄」への掲載(メリット・デメリットそれぞれあります)
  16. その他(喪服などの貸衣装を利用するかどうか、その他葬儀社への質問など)
  • 菩提寺とは:先祖代々のお墓があるお寺のことで、宗派は菩提寺に準じます。葬儀および初七日法要、忌明け法要(三十五日または四十九日法要)などを菩提寺にお願いすることになりますが、菩提寺がない場合やわからない場合は葬儀社に相談すると手配をしてくれます。葬儀などの法事法要での”お布施”は、宗派や菩提寺などで異なります。
  • 「お悔やみ欄」への掲載:故人が生前親しかった方々を遺族側で把握できないことは多々あるため、新聞の「お悔やみ欄」への掲載をすることで(把握しきれていない)親しかった方々へ伝わる可能性はあります。しかし、掲載したことにより様々な営業の電話がかかってくることがあり(対応で)大変になる可能性があるため、個人情報の観点からも掲載しない方が増えています。

葬儀社や葬儀の内容、ご遺族やご親族などのご事情や、地区・地域などで内容が変わってくることもあると思いますが、概ねこの内容となります。葬儀社への質問においては「こんなことまで相談して良いのかな?」という内容であっても気軽に対応してもらえるので、気兼ねなく質問し疑問や不安をできるだけ無くしておくことで、精神的・身体的な負荷を少しでも軽減することができます。例として、下記のような疑問があります。

Q1. 棺に入れても良いものは何でしょうか?

A1. (故人様が使っていた)メガネや愛用の湯のみ、コーヒーカップといったものは棺に入れることができませんが(火葬後に骨壷に入れることができます)、好きな食べ物やお菓子、手紙、衣類、本や雑誌、新聞、ぬいぐるみなどは可能です。その他については葬儀社の担当者の方へ気軽に質問ください。

Q2. 親族が海外に住んでおり、葬儀に参列できないのでライブ配信してもいいでしょうか?

A2. 是非配信してください。ライブ配信を通じて、参列できないご親族の方も喜ばれると思います。

Q3. 故人が生前「自分が亡くなったときにこの着物を着たい」と希望していたので着せてあげたいんですが、可能でしょうか?

A3. 可能ですが、ご遺体を動かすことや安全衛生面など技術的なこともあり、湯灌のサービスを利用いただくことで可能です。また(ご遺族側で)着せることはできませんが、ご遺体の上からかける形であれば可能です。

Q4. 故人を偲ぶ動画を作ったんですが、通夜か告別式の後に(ホールにあるモニタで)流してもいいでしょうか?

A4. 告別式の後はそのままご出棺となりますので、通夜後であれば可能です。家族葬の通夜であれば、僧侶の読経後に喪主挨拶を行っていただき、それが終わると通夜(式)自体は終了となりますので、その後であれば流しやすいと思います。

その他、様々な疑問があると思いますが、中でも一番わかりづらいこととして、菩提寺やお寺・法要に関することが挙げられると思います。こちらについては後述します。

打合せが終わりましたら、死亡診断書を役所へ提出します。死亡診断書は故人様のご遺体を安置場所へ搬送する前に、担当医あるいは医師(院長など)より受け取るようにします。この死亡診断書の半分は、死亡届となっています(下記参照)。

000011718 家族葬の内容と流れ【2】

引用元:法務省 死亡届 https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-4.html

死亡診断書を役所に提出すると、火葬許可証が発行されます。これは火葬場に提出するため、紛失しないようにします。死亡診断書は人によって(葬儀後に)手続きしなくてはならない内容が異なるため、必ずコピーを数枚取っておき、原本として必ず1枚は保管しておきましょう。年金事務所へ死亡届を提出したり、故人様が原爆の被爆者だった場合の被爆者健康手帳(原爆手帳)を返還する際などに必要となります。

また、故人様が後期高齢者医療資格者であった場合は喪失届を提出しますが、その際ご葬儀の費用として20,000円、被爆者健康手帳を返還する際は原子爆弾被爆者手当失権届というものを提出することになりますが、原子爆弾の傷害作用の影響であることが明らかな場合に対し、葬祭料として212,000円が支給されます(令和4年時点)。詳しくは後述します。

5. 通夜の準備

打合せが終わった後、通夜の準備を進めていきます。この前後のタイミングで(菩提寺または葬儀社で手配した)導師(僧侶)が式場に来館し、枕経(まくらぎょう)をあげます。

  • 枕経(まくらぎょう)とは:仏式での葬儀において、故人様が棺に入る前に、枕元で読経することを言います。宗派によっては枕経は行わず、他の読経(臨終勤行:りんじゅうごんぎょう)などが行われることもあります。また、この時点では、お通夜前のため服装は平服(普段着)でもかまいません。

お通夜までに準備するものとして、

  1. 遺影にする写真:もし可能であれば、故人様がご存命の間に選んでもらっておくと良いでしょう。「遺影にする写真はどれにする?」だと聞きづらいと思いますので、「お気に入りの写真ってある?」のような言葉だと聞きやすいでしょう。もしくは、ご遺族で良いと思う写真を選んでいただくと、故人様もお喜びになるのではないでしょうか。写真については、なるべく早めに葬儀社の方にお渡しいただくことで、円滑に通夜の準備が進みます。遺影にする写真以外にも、告別式などに流す「お別れ動画」に使用する写真も必要になってきますので、数枚選びましょう。写真はプリント(紙)でもデータでも、どちらでも問題ありません。
  2. 棺に入れるもの:こちらについては、故人様が(ご存命中に)選びたいということであれば、ご希望通りにすると良いですが、ご存命中に「棺の中に入れて欲しいものってある?」という会話はされないと思いますので、前述のように棺に入れても問題ないものの中で、故人様が愛用されていたものなどをご遺族で選ばれると良いでしょう。
  3. 式場に飾りたいもの:ご参列者に故人様のことをより偲んでいただけるように、思い出の品や趣味のもの、エピソードなどがわかるようなものなどがあれば、遠慮なく準備していただきホールに飾っていただくと良いと思います。大切な方の死を受け止めることは、ご遺族やご親族以外の参列者にとっても同様に辛く悲しいことですので、写真や趣味のものなどがあることがきっかけで、故人様との思い出話が弾んだり、楽しかった思い出を語るきっかけになります。葬儀社の担当者によっては提案してくれたりすることもありますので、遠慮なく質問することをおすすめします。
  4. その他:告別式は菩提寺の僧侶の読経後、喪主あるいは喪主の家族や親族が挨拶をし、その後、火葬場へ向けて出棺となります。お通夜であれば、喪主の挨拶の後に式が終わる場合が多いので、その後にもしやりたいことなどがあれば準備をしておくと良いでしょう。

その他については、打合せで決めた内容を葬儀社が準備していきます。お通夜が始まる前に故人様のご遺体を納棺しますので、ご遺族やご親族でお手伝いすることになります。

6. お通夜

お通夜は喪服(礼服)を着て参列します。家族葬であれば参列者・会葬者は多くないと思われますので、受付はご遺族やご親族の中で持ち回りで行うと良いでしょう。記帳後に御香典を受領し、会葬御礼をお渡しします。通夜においては、司会者が開式を伝えた後、導師(僧侶)が読経をはじめます。導師あるいは司会者より、ご焼香を促す合図がありますので、故人様とつながりが深い順にご焼香を行います。ご焼香の方法や香を炉に巻く回数は宗派によって異なりますが、確実に守らないといけないという縛りはないため、前の方に倣って行うと良いでしょう。導師の読経が終わり説法をされた後、喪主より挨拶を行います。その後は特に行事等はありませんので、作った動画を流したい、喪主以外でご挨拶したいと言ったことなどがあれば実施します。お通夜の前に担当者に話しておくと、必要な準備や段取りを行ってくれます。また、式中にYouTubeやInstaなどを使ってライブ配信をすることも可能です。アーカイブを残し後日観たい場合は、そのままLINEなどで共有できるYouTubeが便利です。注意点として、YouTubeで初めてライブ配信を行う場合、YouTubeライブ配信できる環境が整うまで約1日かかりますので、遅くとも通夜の24時間前に設定が必要となります。直前だと間に合わないため、終活などを行うタイミングなどでライブ配信の申請をしておくと良いでしょう。Instaでもアーカイブ保存ができますが、一度スマホに保存する必要があり、結果的に動画投稿サイトにアップしたものを共有する手間が発生します。

通夜後は自由となりますので、棺の中や遺影の故人様を見ながら心の中で語りかけるなど、思い思いに過ごすと良いかと思います。おそらくは親族控室などで、故人様との思い出話をしつつ、お食事等されることが多いと思います。葬儀会館は自由にお使いいただけるので、ご自宅で過ごすように気楽に利用いただけます。